事業投資って②?
Q. 事業投資って何?
A. 会社を手に入れて運営することだよ!
の続き
①会社を買ってくる・作る
②会社を運営する
③会社を統合・分割する
④会社を売却する
のうち③④
③会社の統合・分割
統合については、大きく2種類
・買収からのPMI(買ってきた会社と既存子会社を統合)
・既存子会社同士の統合
前者は、本社側のルールとか文化とかに従わせないといけないし、継続して成長させないといけない
後者は、統合による間接部門等の効率化と、統合シナジーを出さないといけない
のですが、
前者は文化もシステムも違うので机上の空論になりがち、
後者は上の政治的思惑が多分に影響するのでややこしくなりがち
って感じです。
分割については、売り買いのために分割する場合が多いですが、たまに組織に刺激を入れる目的で他社資本入れる、とかスピンアウトとかの場合もあります。
④会社を売却する
会社を買う場合の反対側です。
・事業計画作成/事前決裁取得
・売却先ソーシング
・DD
・契約条件交渉
・事業計画引いて売却の決裁取得
・売却実務
あたり。
事業投資については以上
事業投資って
Q. 事業投資ってなに?
A. 会社を手に入れて運営することだよ!
ざっくり四つあります。
①会社を買ってくる・作る
②会社を運営する
③会社を統合・分割する
④会社を売却する
たまに
⑤会社を清算する、があるけど、プロジェクト系で期間が終わったSPCとかなので、割愛。
①会社を買ってくる・作る
会社を買うにあたって、やることはいっぱいあります。会社を売る時も同じ感じだけど、ファイナンス部分が減ると思う。
・案件ソーシング
・DD
・契約条件交渉
・ファイナンススキームの検討
・事業計画引いて決裁取得
・買収実務
作る場合は一概に言えないけど、大体本社か子会社でやっている業務をベースに作るとか分社化する感じなので実務的なところが多いです。
②会社を運営する
経営する話。
本社側の意向とかコンプライアンスとか提出書類とかもやらなきゃいけないけど、会社を拡大方向で回さないといけないので、結構忙しい。ただ、会社規模によるけど、色々できるし楽しい。触ろうと思えば、人事も経理も法務も営業も運用事務系もシステムも全部触れる。
子会社の人とうまくやれる必要はあるけど、基本勝てば官軍結果が正義な節がある。
長くなりそうなので続く。
権益投資って?
Q. 権益投資って何?
A. 利益のある権利への投資だよ!
まあザックリ資源権益として油田とか鉱山とかああいうものをイメージして貰えれば。
まず、前提として、マクロに見ると、リスクとリターンはイコールになるように動きます。(わかんない人は自分で勉強してください。)
で、権益投資系は、投資金額規模が大きく、地政学や技術革新の影響による販売面のリスクも大きいので、リスクが大きくなり、つまりリターンも大きくなります。
ということで、ハイリスクハイリターンなものになっているわけです。
で、
①共同投資によるリスク限定
②広い販路による地政学リスク低減
③調達・運用の低コスト化によるリスク低減
あたりを競争力の源泉として、投資してきて、思ったより販売価格が上がったので、めちゃめちゃ利益になってるわけです。
簡単にだけ説明しときます。
①共同投資によるリスク限定
いくつかの企業でコンソーシアム(企業連合)を組んで、失敗した場合のリスクを押さえます。リターンも減るけど、一個一個の額を小さく、いろんな権益に投資することで、安定したポートフォリオが組めるわけです。
A油田で事故が起きて稼働してないけど、BCDEFGH油田があるから大丈夫
みたいな感じ。
②広い販路による地政学リスク低減
石油で顕著だけど、油田て大体紛争地にあるので、地政学リスクの影響を受けて、供給絞られたり、貿易を止められたり、テロにあったり、海賊にあったり、とかが起きるんですが、トレードで色々やってきて選択肢がいくつかあるので、生産さえできれば丸損になるリスクは低減できるわけです。
③調達・運用の低コスト化によるリスク低減
円は他の通貨と比べるとめちゃめちゃ安定しているのに加えて、国としても低金利政策を続けているため、お金の調達にかかるコストがめちゃめちゃやすいです。
リターン−金利=利益になるのですが、100億円投資していて金利が1%違うと、利益が1億円変わるわけなので、かなりバカにならないのです。
で、プラント建てたりも含めて、結構色んなところで強みになってたこれなんですが、世界的なカネ余りの状況で、競争力が落ちてきているのと、昨今の資源価格乱高下による商社に対する市場の低評価を受けて、権益投資の比重を落としていこうとしている、というのが商社の現状って感じです。
権益投資はとりあえず以上。
トレードって②
Q. トレードってなんで儲からないの?
A. IT化と日本の国力低下と現地生産の進展のせいだよ
ちょっと、単純化しすぎですが、大きいのはこの辺りだと思います。
①IT化
情報が広く簡単に手に入れられるようになったことにより、一回のトレードで得られる利益が激減しました。
昔
A国で10円で買って、B国で100円で売る、90円からコストを引いた残りが利益
今
A国で10円で買って、B国で15円で売る、5円からコストを引いた残りが利益
みたいな。
あとは、そもそも商社いなくても別に自分で売ればいいや、とか、もっと安いところを探すわ、とか、そういう事もIT化が進んで情報を集めやすくなったのにともなって増えて、付加価値のないトレードはほぼ死にました。
②日本の国力低下
元々商社のビジネスって
1)海外から日本にいいものを持ってくる
2)日本から海外にいいものを持っていく
3)日本国内での商売
ってのだったのですが、バブル崩壊以降、日本経済ほとんど成長してない結果、商品レベルが相対的に低下・市場が拡大しない、という中で苦しんでいるわけです。
③現地生産の進展
貿易摩擦の影響や、そもそも人件費的な問題で、海外現地生産が進展すると、②で書いた話が減るわけです。(海外で作って日本で売るビジネスは増えるけど)
コマツとか商社嫌いで有名だけど、商品力あるメーカーは、そのまま自分達で売る、ってなりがちで、商品力ないメーカーは、コスト低減のために現地で作ることになる、と。
まあ、現地生産の会社を一緒に作ったりとか、OEMで作る側に回ったりとか、増えてるビジネスもあるんですが、トレードという意味では大分減ってきたわけです。
なので現在残ってるトレードは
①物流的な付加価値が高いもの(生産押さえて安定供給とか、効率的な施設とルート押さえて低コストとか)
②仕入か供給かを何かしらの理由で独占できているもの(資源系の付随とか、専属代理店契約のあるものとか)
がほとんどかな、と。
単純なトレードは、子会社化して、人件費を低減しながら管理するか、辞めていってると思います。
とりあえずなにか質問でなければトレードについては以上
トレードって?
Q. トレードってなんですか?
A. ものを売り買いする業務だよ!
主に輸出入とか三国間貿易とか、そういう貿易関連業務を指します。
例えば、石油を買ってきてどこかに売る場合に、仕入れ元から石油を買う→運ぶ→売り先に石油を売る、って工程があるんですが、それぞれいろんな業務があるのでそういうことをやってます。本社でやってることもあるし、子会社にしてやってることもあります。
①輸出入関連の書類の準備提出
②船の手配、運行管理
③仕入れ元、売り先を探す
④仕入れ元、売り先との価格交渉とか条件交渉(FOBとか責任分界点の話や、瑕疵担保とか遅滞責任とか)
⑤各種保険の管理(船にも商品にも保険かけるから)
⑥商品の品質検査とか実地監査とか
⑦商品ポジションについてのリスクヘッジ(先物でポジション相殺して利益確定しておく、みたいな)
まあ結構色々あって、これが商材ごとにあるって感じ。商材ごとに業法とか慣習とかで違いもあるので、共通してるところはあるけど、他の事業部の業務は割と別の会社の話、ってくらい違う。
で、正直今の時代こいつ儲かんねえのです。
つづく
総合商社って実際なにやってるんですか?
Q. 総合商社って実際なにやってるんですか?
A. 反社会的勢力と関係がなくて、合法で、億単位で金になるならなんでもやりますやってます。
トレードと事業投資、って切り方がありますが、もう少しちゃんと切った方がよくて
・トレード
・権益投資(油田とか鉱山とか)
・事業運営(子会社売買立ち上げ運営)
て感じです。
トレードは先細ってるし、権益投資もリスクとか環境意識への対応とかで脱権益にシフトしてるし、事業運営にシフトしてるかな、って感じです。
事業運営は、それぞれにビジネスモデルと事業領域があるので、なにやってる?に対して一概に言いづらい一因です。
あと、中の人間べつに全事業知ってるわけじゃないからさ!知らんわ!ってなるよね!
以上